2026/01/14 『悲しみの秘儀』を読んで

この本を読んで、私が一番はっきり理解したことがあります。
それは、悲しみは、解決するものではないということです。
私たちは、つらい出来事があると、
「どう意味づけるか」
「どう前向きになるか」
を考えがちです。
私自身も、そうやって物事を処理してきました。
しかし『悲しみの秘儀』は、違う立場を取ります。
悲しみは、考えて整理する対象ではなく、
一度、そのまま引き受ける体験だと書かれています。
本の中に、印象に残った一節があります。
人は、真に他者とつながるために、一度は「一人であること」を引き受けなければならない。
これは、「人は孤独でいろ」という話ではありません。
誰かに分かってもらおうと急ぐ前に、
自分の中に起きている感情から逃げないこと。
その姿勢がなければ、他人との関係も表面的なものになる、
私はそう受け取りました。
人は、すべてを分かり合うことはできません。
それでも、短い時間でも
「この人とは、確かにつながった」
と感じる瞬間があります。
その感覚は、
正論を並べたときや、
問題をうまく解決したときではなく、
感情をごまかさずに向き合ったときに生まれるものだと思います。
『悲しみの秘儀』は、
悲しみを乗り越える方法を教える本ではありません。
むしろ、
悲しみを急いで処理しない勇気を教えてくれる本です。
人を支える立場にある人ほど、
早く答えを出そうとします。
早く前に進もうとします。
その姿勢が必要な場面も、確かにあります。
ただ、
人と深く関わりたいなら、
ときには立ち止まり、
分からないまま、感じたまま、
そこにとどまる時間も必要なのだと、この本は教えてくれました。
静かに、しかし確実に、考え方を揺さぶられる一冊でした。




