2025/11/25 「博士の愛した数式」を読んで

博士の記憶に関係する物語ですが、読み進めるうちに、これはただの“設定”ではなく、人との関係についてのメタファーだと思いました。
博士は、相手をいつも“今日の相手”として見るしかありません。
これは極端に見えて、実は私たちも同じです。
人は、思っているほど過去のやり取りを正確に覚えていません。
だからこそ、今日どう向き合うかで関係は作り直せる。
また博士は、過去の失敗や誤解、しこりを抱え続けることができません。
これは不便なようで、別の意味では“自由”にも見えました。
私たちはつい、必要以上に過去の記憶を背負いがちですが、
博士の姿を通して、
「いま目の前にいる相手を、そのまま見る自由」
を思い出しました。
物語自体は大きな事件があるわけではなく、
博士・家政婦・少年の穏やかな日常が静かに流れています。
けれどその中で、
短い時間にも関係は育つし、小さな積み重ねが大切 ということだけは、強く心に残りました。
読み終えて、「結局のところ、昨日どうだったかより、今日どう接するかなんだな」と感じました。




