2025/11/05 『騎士団長殺し』村上春樹 を読んで思うこと

村上春樹さんの『騎士団長殺し』を読みながら、改めて感じたのは―― 人の心というのは、言葉にならない思いや感情が、絶えず流れているということです。 登場人物たちの内面の動きは、非常に細やかで、まるで自分の中にも同じ感情が潜んでいるかのように感じさせます。 「この人はなぜそう感じたのか」「なぜその言葉を選んだのか」――その過程を追っていくうちに、 自分の中にも似たような“言葉にならない感情”がいくつもあることに気づきました。 日々、私たちは仕事や生活の中で多くのことを考え、感じています。 しかし、そのほとんどは言葉になる前に過ぎ去ってしまいます。 『騎士団長殺し』を通して、私は「自分が感じていることを、できる限り言葉にしてみよう」と思うようになりました。 言語化してみると、不思議なことに、自分が何を恐れていたのか、何を望んでいたのかがはっきりしてきます。 同じ出来事を別の角度から見られるようにもなり、自分の内側が少しずつ整理されていく感覚があります。 村上作品の魅力は、結論が与えられないところにもあります。 読み手に解釈を委ねる余白があるからこそ、登場人物と一緒に自分の心の奥を旅できる。 その「余白」こそが、私にとっての学びであり、面白さです。 日常の中で、少し立ち止まり、言葉にならなかった思いを、言葉にしてみる時間を持ってみたいと思います。




